研究の紹介

Research

生化学研究グループ

精神・神経疾患の病態解明や向精神病薬の薬理機序の解明を生化学、分子生物、分子遺伝学的手法で研究しています。

精神疾患の発症脆弱性、重症化、薬物反応性に関する遺伝子研究
統合失調症、躁うつ病、アルツハイマー病などの精神神経疾患は、高血圧や糖尿病と同様に発症頻度が高い疾患です。発症には環境因子と遺伝因子が影響します。当研究室も、CNTF遺伝子が統合失調感情障害の危険因子であることを2001年に発見して以来、遺伝要因の研究と発見を続けてきました。遺伝子研究は、全ゲノム解析、全国規模の共同研究の時代となり、当研究室も協力しましたが、決定的な遺伝子を見つけるに至っていません。
当研究室では、統合失調症の臨床経過、薬物反応性、副作用、予後を、詳細に評価してきました。環境要因の検討に加え、単一では決定的な変化にはならない遺伝子も、複数の組み合わせが、統合失調症の発症だけでなく、経過や予後に関係するのではないかという仮説の下、研究を続けています。
統合失調症専門外来での診断、セカンドオピニオン、臨床研究
平成22年10月より、心のリスク専門外来を開設しています。「統合失調症であるか診断してほしい」「自分の脳の変化を知りたい」と希望される患者様、ご家族をかかりつけの先生からご紹介いただき、時間をかけた詳細な問診、画像検査、心理検査などを行い、結果をカンファレンスで検討した上で患者様、紹介元の先生へお伝えしています。結果を単に伝えるだけでなく、統合失調症の治療意欲の向上、将来への希望に繋がり、患者、医師、家族間のコミュニケーションツールとして役立てるようBACSやMCCBといった評価バッテリーを用いて患者さんが生活する上で実際に必要な能力も評価しています。また、統合失調症の認知機能障害の研究を国内の多くの研究機関と連携して行っています。
統合失調症メカニズムの分子生物学、細胞生物学、薬理学的検討
培養細胞やプライマリーカルチャーニューロン、実験動物に統合失調症の疾患候補遺伝子を強制発現させる、RNA干渉を用いて発現抑制することで、統合失調症の疾患候補遺伝子蛋白の機能解析を行い、統合失調症のメカニズムを解明する基礎研究を行っています。また、抗精神病薬が、神経細胞にどのような影響を直接及ぼすかを合わせて検討し、統合失調症の臨床と研究の橋渡しをするような研究を行っています。
精神疾患に自己抗体が与える影響についての研究
自己免疫性脳炎と精神疾患の話題が大きく取り上げられるようになり、岡山県精神科医療センター、岡山大学でも入院で発見される例が相次いでおります。金沢医科大学病院神経内科にお願いしている、抗NMDA受容体抗体の測定が、当研究室でも可能になりました。秋田大学医学部附属病院精神科、金沢医科大学病院神経内科との共同研究です。
覚せい剤精神病の遺伝子研究
覚せい剤精神病の研究は、当研究室におられた1980年代の佐藤光源(現、東北大学名誉教授)先生より始まりました。統合失調症の最も代表的な薬理モデルであるメタンフェタミンやコカイン反復投与による逆耐性モデル、フェンシクリジン(PCP)投与による陽性症状・陰性症状・認知障害の症状モデルの研究で世界をリードしてきました。現在は、多施設共同研究としてJGIDA(ジェイガイダ)を立ち上げ、遺伝子解析を行っています。
性同一性障害の生物学的研究
当教室は西日本のセンターとして包括的治療に取り組んでいます。しかし、その発症原因は全くわかっていない状態です。生物学的な基盤を分子遺伝学的手法で研究しています。