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Apr.30.2025
論文タイトル:Cerebral Braak stage and amygdala granular fuzzy astrocyte status have independent effects on neuronal 3R-tau and 4R-tau accumulations in the olfactory bulb, respectively, in cases with low to intermediate AD neuropathologic change
著者:Osamu Yokota, Tomoko Miki, Hanae Nakashima-Yasuda, Hideki Ishizu, Takashi Haraguchi, Akinori Miyashita, Takeshi Ikeuchi, Masato Hasegawa, Naoto Nishikawa, Shintaro Takenoshita, Seishi Terada, Manabu Takaki
雑誌:Acta Neuropathologica 2025 Apr 26;149(1):36.
DOI: https://doi.org/10.1007/s00401-025-02875-6
PMID: 40285882
横田修客員研究員(きのこエスポアール病院)と髙木学教授らによる嗅球に蓄積するタウ蛋白アイソフォームと大脳のタウ病変との関係を解析した論文が、神経病理学分野のトップジャーナル「Acta Neuropathologica」(IF 9.3)(5-year IF 13.2)に掲載されました。この研究結果は日本医療研究開発機構(AMED)委託費、及び日本学術振興会科学研究費助成事業の助成によって得られました。またこの研究は、日本ブレインバンクネット岡山拠点である慈圭病院(安田華枝医長、石津秀樹前副院長、寺田整司精神医学研究所副所長)と南岡山医療センター(原口俊医長)、及び新潟大学脳研究所(池内健教授、宮下哲典准教授)、東京都医学総合研究所(長谷川成人参事研究員)と共同で行われました。
アルツハイマー病では、リン酸化タウ蛋白で構成される神経原線維変化の形成が海馬から大脳新皮質に拡がるにつれて、嗅球にもタウ蛋白が蓄積することが知られていました。しかしこのタウ蓄積に、近年注目されている4リピートタウ陽性の加齢関連タウアストログリオパチー(ARTAG)が影響するのかは不明でした。本研究では、嗅球における3リピートタウ蓄積には海馬から大脳への神経原線維変化の拡がり(Braak stage)が独立した効果を有しており、4リピートタウ蓄積には嗅球と線維連絡する扁桃核のgranular fuzzy astrocyte(ARTAGの一種)が独立した効果を有している事が明らかになりました。リン酸化タウはプリオン特性を有しますが、同じくプリオン特性があるリン酸化αシヌクレイン(パーキンソン病のレビー小体の構成成分)は鼻腔スワブ検体からシード増幅アッセイによって検出できることが知られています。このため、今回の研究では嗅覚系検体を用いた大脳のタウ病変の推定に役立つ基礎的情報が得られたと考えられます。