Research
当研究グループで作成した質問票や検査を掲載しています。営利目的を有さない研究および臨床に使用される場合には、ご自由にお使いください。論文などで報告される際には『解説』の頁に記載された文献を引用してください。
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解説
ACE-IIIはテスト用紙のみで施行できますが、教示用別紙・記入用別紙を用いることも可能です。
アルツハイマー病を中心とする認知症疾患は、今日では単なる医学的な問題に留まらず、大きな社会問題となっています。 当グループでは、主にアルツハイマー病などの認知症疾患、および老年期の精神疾患を対象とした研究を行っています。基礎研究のみにとどまらず、臨床をも含めた広範な研究を行い、認知症疾患や精神疾患に苦しむ患者さんや御家族のために貢献できることを願っています。
剖検脳を用いて、その組織病理学的検討を行い、各疾患の病態解明に迫ります。具体的には、剖検脳から目的の部位を取り出し、染色して光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察します。長年の蓄積により、一般的な疾患だけでなく、稀な疾患の貴重な標本も多数あり、特に非アルツハイマー型認知症に関する研究に関しては全国的にも有名です。
2010年以降の業績(神経病理学的研究)
2つの分野で研究を行っています。1つは、もの忘れ外来での研究です。患者さんの呈する臨床症候の神経基盤を探求したり、日常診療で用いられる認知機能検査の意義を明らかにする研究を行い、報告しています。また、重要な認知機能検査の日本語版を作成し、信頼性・妥当性を検討しています。
2つ目は、(主に)同門の先生方と協力して実施している臨床研究です。認知症患者の客観的QOL評価票および其の短縮版を、日本で始めて開発するなど着実に成果を挙げてきました。認知症患者への経管栄養に関しても、同門の先生方と広範な調査を実施し、報告しています。
2010年以降の業績(関連病院との共同研究)
全身麻酔下で脳を電気的に刺激することで、重症のうつ病や統合失調症を治療する方法が、精神神経領域の治療で行われています。近年、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)という方法が、麻酔が不要で、痛みなどの不快感を生じることなく、認知機能や運動機能を回復させる可能性があるとして、世界的に注目を集めています。認知症患者の機能回復に有効な治療法の開発を目指して、tDCSを用いた臨床試験を行う予定です。
これまで、知的障害の方は比較的若い年齢で認知症を発症する場合があるということがわかっています。しかし、日本で実際に知的障害の方の中で、認知症がどの程度生じているのか正確にわかっていません。2017年から、社会福祉法人 旭川荘と共同で岡山県の15施設を対象に認知症の有病率を調査する横断研究を行っています。
社会福祉法人、旭川荘
国立長寿医療研究センター(行動心理療法部)の研究班に参加し、認知症者が呈する生活トラブルに関する調査を行っています。岡山県下の認知症疾患医療センター7施設の協力を得て実施中です。
2014年に行った横断調査、2015年に実施した後ろ向きカルテ調査に続き、2017年からは,前向きコホートを開始しています。岡山県下の精神科病院が参加しています。
国立長寿医療研究センター(行動心理療法部)を主管とする研究に参加し、社会福祉法人 三恵会の全面的な協力をいただき、研究を実施しました。成果は英語の論文として、2018年に報告されました。
2014年、最初の研究として、非経口的な栄養摂取を受けておられる患者さんの実態調査を行いました(mid-Dem study01)。調査結果は、英語論文2報に纏めて(2016年)報告しました。
2015年は、非経口的な栄養摂取を受けた患者さんの予後調査(後ろ向き)を実施していました。進行した認知症患者においても、経管栄養が寿命を延長させ、肺炎を減少させることを明らかにしました。調査結果は、英語論文2報に纏めて(2017年)報告しました。
アルツハイマー病を始めとする認知症疾患の多くで、中枢神経組織にタウと呼ばれる蛋白質が異常な沈着を起こしています。当グループでは、タウ蛋白をマウスの中枢神経系に過剰発現させたマウスを用いて、認知症疾患の病態解明や、予防法・治療法の開発を目指して研究を行い、アルミニウム曝露によるタウ病理の促進を明らかにし、2014年に英語論文として報告しました。