研究の紹介

Research

社会と健康行動科学研究グループ

重度精神障害を有する人は健康格差があることが知られています。例えば、統合失調症患を有する患者は一般住民と比較して10年以上寿命が短いことが報告されており、心血管疾患やがんの死亡率が高いことが知られています。本研究グループでは、重度精神障害を有する人の健康関連行動の向上や、医療アクセスの改善に資する研究を行っております。現在は、主としてがん診療の格差是正を目指して以下の研究を行っています。

精神科臨床場面における多職種協働による効果的ながん検診の受診勧奨法の開発と効果を検証する研究

重度精神障害を有する人は一般住民と比較してがん検診受診率が低いことが世界的に知られており、私たちの先行研究でわが国も同様であることが明らかとなりました。重度の精神障害者は一般的ながん検診受診勧奨が届きにくいハイリスク集団です。そのため、かかりつけの精神科臨床場面において、多職種協働でケースマネジメントを用いたがん検診の受診勧奨法を開発し、無作為化比較試験(ACCESS試験)を実施しています。本研究は、日本がん支持療法研究グループ J-SUPPORTの支援を受けて行っています。

精神障害者のがん診断と治療における課題を明らかにし、問題を解決するための連携を促進する体制構築を目指す研究

重度精神障害を有する人は、がんの診断の遅れ、標準的な治療や緩和医療が受けられていないなどがん診療の格差があることが知られていますが、具体的にどのような課題があるかはわかっていません。そのため、本研究では、がん診療に関わる医療福祉従事者を広く対象として質的な調査を行って課題を整理しました。現在その課題を定量する調査を行っています。